Case study -【畑荒らし】

 

先日事務所に相談しにやってきた農家の畑を訪問した時のこと。

今回伺った農家さんは広大な土地を所有している方で、扱っている品種も多い。

とうもろこし、大豆、ほうれん草、西瓜、ピーマン、パクチー、目視で確認しただけでもその他9種類。

 

さて今回この農家がうちの事務所に相談しにきた内容は、畑荒らしの問題だった。

始めは動物被害によるものかと思っていたが、実際は近隣住民による故意の仕業であることが判明した。獣のような食い荒らし方ではなく、刃物による損傷や踏みつけたような痕跡が何度か残っていたからだ。

 

いかにもコミュニティ開発隊員らしい現状。こうした事象は記録しておこう。

 

今回はなぜこうした事が起きているかを掘り下げつつ、実際にこうした対策に乗り出している事例を挙げながら、ケニア,ルアンダにおける農業支援の在り方を考察しようと思う。

※捕捉※
記事を書き終えて気付いたのだけど、この型でまとめると分析と発信が安定しそうなので、今後もこのシリーズは事象が起こり次第お届けしようと思う。

 

畑荒らしと開発教育

背景と現状

農家の特徴とルアンダの気候

農家と僕の上司から詳しい話を聞いてみるとその現状と背景が良くわかった。

ここケニア西部に位置するルアンダは年間通して気温が15-30℃、四季は乾季と雨季の2種類、土壌は赤土。

30キロほど南下すると第3の都市キスムがあり、種や苗を仕入れる際は多くの人がここから仕入れている。

農家の特徴としては8割近くが小規模農家であり、基本的には自分達が食す作物を作り、残った分をマーケットに売る傾向がある。

これまでつくってきた野菜はどこの家庭もほぼ同じで、種やその栽培方法といったノウハウも共有しながら栽培してきた。

 

 

差別化できない農作物

しかしここ数年、中国資本の流入や諸外国からの支援を受けここケニアも目覚ましい経済成長を遂げている。

同時にこれまで彼らが経験したことの無い、マーケティングやビジネスの要素も求められるようになってきた。

彼らはそのノウハウを知るすべを持っておらず、皆同じものを業者へ売り込み、結果として僅かな利益しか得られていない現状が見えた。

本来の用途は自分達の食料確保の野菜であり、当然そこに差別化の必要は全くない。

 

ほかを貶め評価をあげる

その結果どのような事象が起きたかというと、故意に周りの作物を荒らすということになっている。

自分の農作物の質や量を向上させるのではなく、周りの成果物を無下にすることで利益を抽出しようとしている。

しかし本来正しいアプローチは自分の畑を効率的に活用し、品種を増やしたり付加価値と呼ばれるような独自性を見つけることにコストをかけるのが一般的だと僕は思う。

被害を受けた農家は同じことでまた別の誰かを報復する可能性もあり、資源の浪費でしかない。これはとても良くない。

 

 

行動と具体例

種や苗の物的支援

手っ取り早いのは種や苗の物的な支援だ。

ここルアンダカウンティはビヒガカウンティ(県)の管轄なのだが、ここ数年農業ビジネスにとても力を入れている。

具体的には他5つの群にも僕同様に協力隊員が駐在しており、行政の協力的な姿勢が見て取れる。

金銭的なサポートを過度に期待するのは良くないが、現物としてそうした市場で売れ筋の種や苗の配給は、農家の行動に直結する支援なので案としてはひとつありだと思う。

 

 

開発教育の普及活動

もうひとつは教育、表現としては「開発教育」と書くことにした。

これは日本の道徳的な価値観を彼らに教えるということでは無い。

そんなことせずとも悪いことは悪いと、彼らは既に自分達にコミュニティでしっかり理解している。

 

僕がやろうとしているのは、その分かっている価値観,学びすべき行動を繋げるための教育だ。

 

上記の通り、人の野菜を荒らしたり、物を盗んだり、人をだましたりすることが悪いことだという認識を彼らは持っている。

しかし私利私欲やそうさせてしまう環境など、各々抱える問題がそうさせているのだと僕は思う。

これを解決するための一歩として、農家を対象としたワークショップや勉強会を採用する。

 

少し感情的な問題から一度離れて、実際の農作業のやり方に注目してみると良い。

先述したように彼らはまず基本的に「食べるため」の野菜をベースに栽培している。

近年は少しずつビシネス意識をもつ農家も増え、どんな品種が売れるのか、原価の安い作物はどれか、そういったことに「売るため」の野菜に注目している農家が増えている現状がある。

 

これを支援するようにワークショップや勉強会を定期的に開催し、学びに飢えている農家への開発教育を進める。

そして軌道に乗り始め利益が出るようになってくると、当人は自信に繋がり、また別の学びと行動を自ら進んでするようになる。

 

同時に利益が出ると周りも理解始めると、後追いする野次馬のように、そのマネごとをし始める。

もちろん確証はないけれど、良くも悪くも自分に利益があると思うと人事を真似るのが常だと思うので、考えているよりは行動に移してみて、その後経過観察すればいいと思っている。

 

 

SHEPアプローチという実績

なんだかJICAの回し者みたいな表題になってしまったけれど。笑

ケニアでは既に他の地域で似たようなプロジェクトとしてSHEP(Small Holder Empowerment Promotion)と呼ばれるプロジェクトが実施され成果が出ている。

これは小規模農家を対象に、「売る」ための農作物の栽培と、マーケティングのノウハウを普及するという長期プロジェクトだ。

個人的にはそんな仰々しいプロジェクト名を付けずとも、普通にマーケットで需要のある野菜を育てるプロジェクト、で良いと思うんだけど。笑

 

これによってレストランや国外輸出する場合に需要のある野菜は何かを実際に市場調査し、さらには経理財務といった簿記会計の知識も彼らに学んでもらう。

こうすることで実力がつき、マネジメント能力も習得でき、農家自身のモチベーションも上がるという実例がある。

長い期間で取り組まなければならない点はネックだが、確かな実績として伝えることができるのは大きな利点だ。

 

 

考察

共有するという環境つくり

一人に頼りマンパワーになると独占やまた今回と同じような行動が起こりうる。皆が同じような環境下になると、周りを出し抜こうと私欲が生まれかねないということだ。

そうした予防策として村や地域の人々と情報や仲間意識を共有する環境作りもその後必要にはなってくると思う。

難しい作業や新たな気付きを一般化・簡易化して取り出せるようにし、その後も労力をかけずに作業ができるような体制をつくる。

 

 

まあ結局のところ…

この記事書くのに1時間半もかかってしまった。笑

こんだけ熱量を込めて書いておいてなんだけれど、結局のところ彼らがやる気が無ければ何の意味も無い。

別に必要が無いと思うならそれはそれでいい。

分かってもらえるように言葉を紡いで伝え、それを続けたとしても、その人の解釈によって価値を感じないのならばそれはそれで全然良い。

 

ただこうした活動を進める中で、想いや哲学をもって取り組みたいという農家と出会えるのなら、僕はその気持ちに応えられるように真摯に向き合って活動したいと思う。

 

僕も他に学びたいことはあるし、自分の活動を伝えていきたい相手も他にたくさんいるから。

あんまり前のめりになりすぎず、肩の力を抜いて企画書書こう。

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ABOUTこの記事をかいた人

▷山形県天童市出身▶︎青年海外協力隊員 ▷jocv 2018-2 コミュニティ開発(農作物栽培×地域活性化) ▶︎大学卒業後→経理財務→焼肉屋→現在▷心地よい生活を求めライフスタイル探求中▶︎料理とお菓子作り好き▷色んなものを疑いながら日々生活中